保護犬を迎えるという選択肢。ペットショップで犬を買うという事

「犬と暮らす」
それはただ癒しや愛情をくれるだけではなく、社会との繋がりを持つことや心身の健康を保つことなど多くの良い影響があります。
しかし、犬を飼うという重要な決断を下す際には、どこから犬を迎えるかという問題も考慮すべきです。本記事では、ペットショップから犬を購入することの問題点やペットショップの裏側に着目し、代わりに保護犬を迎えることのメリットを紹介します。

これから犬を迎えたいと考えている方や、ペットショップの実態が気になる人はぜひ最後までお読みください。

ペットショップから犬を買うことは悪なのか?

2022年には、沖縄でも県内大手ペットショップ「ペットボックス」が犬猫の生体販売を完全に取りやめました。
生体販売を停止して、保護犬・保護猫を迎える文化を沖縄から発信するというビジョンを掲げ、啓蒙活動をしています。本来利益を求めて生体販売をしていたお店が利益を失ってでも「保護犬・保護猫を迎える選択肢」を持ってほしいと願うのは、どのような背景があるのでしょうか?

ペットショップで犬猫を迎え入れないでほしい理由

  1. 飼育施設の状態
    ペットショップでは、商業的な目的で繁殖された犬が販売されます。しかし、これらの犬がどのような環境で飼育されているのかは明確ではありません

    狭いケージや不十分な衛生状態など、不適切な環境で飼育された犬は健康問題を抱える可能性もあります。
    また、ペットショップでの飼育状況は透明性に欠けており、購入前に犬の正確な背景や生活状況を知ることが難しいです。
  2. 遺伝的な問題や健康状態
    ペットショップで販売される犬は、一般的にはブリーダーから供給されます。しかし、そのブリーダーが適切な品種改良を行っているとは限りません。
    パピーミル」いわゆる「子犬工場」と呼ばれる悪徳ブリーダーによる繁殖の場合、飼育環境は最悪です。「パピーミル」については近々詳しく記事を載せますね。気になる方は閲覧注意ですが、ぜひご自身でも調べてみてください。

    繁殖には健康な遺伝子プールが必要ですが、商業ブリーダーは利益を最大化するために血統を無視することがあります。
    結果として、遺伝的な問題や遺伝子疾患を持つ犬を購入してしまうリスクがあります。
  3. 子犬の親
    ペットショップに並んでいる可愛い子犬たち。その親がどのような状態で飼育されているのか、どのように繁殖に使われているのかは購入者には不透明です。
    しかし、しっかりとした環境で育てているいわゆる「優良ブリーダー」と呼ばれる繁殖業者からペットショップへの流通はほぼないと言って良いでしょう。ペットショップにくる子犬たちは、おおよそが「パピーミル」からの流通です。

    子犬の親たちは「繁殖犬」として狭いケージ中に閉じ込められ、散歩をすることもお風呂に入れて清潔にされることもなく生涯を終えることもあります。
    子を産めなくなった母犬や繁殖機能を失った雄犬は処分されるか、捨てられるかです。
    多くの動物愛護団体や保護施設が「ペットショップから買わないで」と必死で訴えているのは、この親たちの現状を知っているからです。
    購入する人がいる限り、繁殖業者は「需要がある。お金になる」と考え、繁殖を続けます。この親たちを助けるためには、行政の取り締まりももちろんですが、何より消費者である私たちの選択が重要です。

    ペットショップから購入するということは、悪徳ブリーダーにお金を払うということです。「あなたたちの行いに賛同します。」という意思表示になります。
    購入する人がいる限り、この不幸な親犬たちはうまれ続けます。
  4. 社会化不足
    ペットショップにいる子犬たちは、出来るだけ小さい方が高く売れます。その為、早期に母犬や兄弟犬と引き離されることもあります。
    そうすると、母犬からの愛情に飢えたり、兄弟との関わりの中で学ぶ社会性が身に付かないうちにペットショップのケージの中に入れられてしまいます。

    また、生後数ヶ月の社会化に非常に大切な期間に外との関わりを絶たれることにより社会性が身につかない犬へと成長してしまう恐れがあります。犬の社会化とは、他の犬との関わりや遊び・飼い主以外の人との交流、お外の世界を知ることです。
    子犬の成長期に社会化経験をしないことで「他人に吠えかかる」「他の犬との交流ができない」「怖がりでお散歩が嫌い」などの問題行動を引き起こす事例も数多くあります。

では次に「保護犬を迎えるメリット」についてみていきます。

保護犬を迎えることを薦める理由

  1. 個性と相性のマッチング
    保護犬を迎えることで、自分や家族に合った犬を選ぶことができます。
    保護施設のスタッフは、その保護犬の性格や行動の特徴、保護された背景などをよく知っていて、その犬にマッチする家庭はどんな家かをよく知っています。これにより、飼い主のライフスタイルや家族のニーズに合った犬を見つけることができます。
    また、保護犬は個々の経験や背景を持っており、その個性が飼い主との相性を築く基盤となることがあります。飼い主と保護犬の相性が合えば、深い絆を築くことができます。
    お金を払えば引き取れるペットショップとは異なり、譲渡後に何か困ったことや不安があれば保護施設のスタッフに相談できるのも大きな利点と言えるでしょう。
  2. 人道的選択
    保護犬を迎えることは、動物の過剰繁殖問題に対する人道的な選択でもあります。
    上記で解説したようにペットショップで販売される犬は、需要に応じて繁殖されますが、その結果、無数の犬が悲しい運命を辿っています。
    保護犬を迎えることは、新たな生命を生み出すことなく、既に存在する犬たちに新たな家族が与えられます。この選択により家族を必要とする命を救い、殺処分を避けることができます。
  3. 動物の福祉
    保護犬を迎えることは、動物の福祉に対する意識を高める良い機会です。保護犬は飼い主の愛情とサポートを必要としています。
    過去のトラウマや心理的な問題を抱える場合もありますが、適切なケアとトレーニングをすることで、幸せな家族の一員となることができます。
    中には、プロによるトレーニングが必要な場合もありますが、それはペットショップから犬を迎える時にも考慮する必要があります。

保護犬を迎えることで、犬たちの不幸な運命を変えることができます。
彼らには愛情や家族、屋根と壁がある安心できる居住が必要であり、保護施設や動物愛護団体は保護した子たちの幸せのために尽力しています。保護犬を迎えることは、犬のためだけでなく、飼い主自身やその家族にとっても心の豊かさ喜びをもたらすことができます。

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結論


ペットショップから犬を購入することには多くのリスクや犠牲を伴います。
代わりに保護犬を迎えることは、命を救い、過剰な繁殖業者への「反対」の声を上げる選択肢になります。
保護犬を迎えることで、不適切な環境での飼育や遺伝的な問題を回避し、愛情を必要とする犬たちに新たな家族と生活を提供することができます。

保護犬を迎えることは、飼い主自身にも多くのメリットをもたらします。
①飼育環境や健康状態が明確ある
まず、飼育施設の状態や遺伝的な問題を心配する必要がなくなります。保護犬はすでに健康状態が確認されており、予防接種や避妊手術などの必要な処置も済んでいます。

②過剰繁殖による命の犠牲を減らす
保護犬を迎えることは、動物の過剰繁殖問題に対する積極的な対策です。飼い主が保護犬を選ぶことで、新たな繁殖や商業的なブリーディングに貢献せず、既に存在する犬たちに新しい家族を提供することができます。

③家庭にマッチした犬を選ぶことが出来る
保護犬は個性豊かで、飼い主との相性を重視して選ぶことができます。保護施設では、犬の性格や行動の特徴について詳細な情報が提供されています。これにより、飼い主のライフスタイルや家族のニーズに合った犬を見つけることができます。

④動物福祉への貢献
保護犬を迎えることは社会的な意味も持っています。動物愛護団体や保護施設は、捨てられたり虐待されたりした犬たちに新しい家族を見つけるために努力しています。保護犬を迎えることは、動物の命を救い、その福祉に貢献する行為なのです。

「保護犬を迎えるという選択肢」

ペットショップから犬を購入する前に、ぜひ「保護犬を迎えるという選択肢」を検討してみてください。
保護犬には愛情、安定した環境、そして新しい家族が必要です。飼い主として、保護犬を迎えることで人生に喜びと充実感をもたらすことができます。保護犬との関係は、深い絆と相互の成長をもたらすことがあります。

保護犬を迎えるためには、いくつかの手順があります。
保護施設や動物愛護団体のサイトなどを確認し、保護犬の情報や飼育条件について相談しましょう。審査や環境調査を経て、トライアル・譲渡へと進みます。
また、保護犬の飼育に必要な費用や責任についても確認しましょう。

審査については、ぜひこちらをお読みください。

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保護犬を迎える際には、忍耐と理解を持って接することが重要です。保護犬は過去の経験から心の傷を抱えている場合があり、時間と愛情をかけて信頼関係を築く必要があります。また、初めての飼育者である場合は、トレーニングや行動の問題解決のサポートを受けることもおすすめです。

保護犬を迎えることは、一生涯の責任です。彼らには十分な運動や栄養、定期的な健康チェックなどが必要です。また、飼い主としては、地域の犬のトラブルや不妊・去勢手術の重要性についても関心を持つことが重要です。

最後に、ペットショップから犬を購入する選択肢には多くの問題があることを忘れずに。
保護犬を迎えることで、飼い主自身の人生にも意義深い変化が訪れることでしょう。愛情とサポートを必要とする犬たちに新たな家族と生活を提供し、一緒に幸せな時間を過ごすことができるのです。
是非、ペットショップではなく保護犬を迎える選択肢を検討してみてください。

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